サルサ野郎は考えた

Bike(ジテンシャ)のコトばっかり。主にMTBとグラベルとバイクパッキングね

バイクパッキングでも最適ラインをガッツリ走る3つの秘策

4月の最初の週末、毎年恒例となっている房総バイクパッキングの旅に行ってきた。
もう4回くらい同じ場所だけど、全く飽きることのない素敵なロケーション。
楽しいメンバーと快適な天候に恵まれ、100点満点の最高のキャンプツーリングとなった。

 


0. はじめに


さて、冒頭からいきなりだけど、
私はバイクパッキングフル装備でのライドでもオフロードでは、

「気分はMTBのごとく、おいしいラインを読みながら、限界85%の走破を楽しみたい派」である。

どういうことかというと、
ゆっくりのんびりではなく、ある程度のスピードとコーナーのラインを見極めてライドそのものも我慢することなく楽しみたいってこと。

じゃ、バイクパッキングではなく、荷物をほとんど積まないで走ればいいじゃん!と自分でツッコミを入れたくなるが、いやいや宿泊スタイルのキャンプ旅も大大大好きなので両立できるスタイルを検討し実践して見た。


それが、今回のスタイルである。


では、ガッツリと走りを楽しむための装備とはなんぞやってことで本題に入ろう。
自分が思う優先順位が高い順で述べていくこととする。

1. 荷物をギュギュギュッと確実にバイクに固定する!

一般的に言えば、荷物を減らして軽量化するっていうのが物理的にも精神衛生的にも正しい。まぁ、それは言わずもがななので、それを前提にした上できっちりとやるべきことは、積載した荷物を確実固定することが肝要だということ。

今回の荷物で、バッグ単体で一番重かったのがサドルバッグ

Revelate Designs スパインロック・サドルバッグ
同社の中でも最大クラスの16Lという巨大サイズだが、サドルのシートレールに専用の固定金具で固定する方法を採用しており、上下左右に揺れることが理論上ない。
もちろん、「ギュギュギュッと」するために、バッグ内部には隙間が無いように前方へとどんどん詰めていき、バッグ内部で荷物が暴れる余白を残さないようにしている。そのためバッグ全体が圧縮され大きな硬い塊になる。

この一番高い位置に存在するサドルバッグが確実固定できずに、ブラブラする状態で走ると、重心が揺られて、コーナーの最中にグラつき、思わぬところでハンドルが取られコントロールをミスするという悪循環にみまわれる。もともとWhatineedはこの揺れることを避けたくて自家製パーツを作り出すことから始まったので、どんなバッグを付けようと揺れを抑制することには人一倍気を付けている。

また、ここまで重量級になるとシートクランプの締め付けにも気を配りたい。

WOLFTOOTHのシートクランプの上に、もう一つクランプがある。
BBB社「ポスト・フィックス」というシートポストがずり落ちないためのパーツだ。
実は、以前シートクイックタイプのレバー型クランプを使っていたのだが、固定強度が不足したのか、重さに負けてズルズルと下がってきたことがあって、たったの5g増&1000円以下でできるこの対策品に飛びついて試してみたところ、この手のトラブルは皆無となった。
シートクランプの固定力+ポストフィックスの固定力で安心感倍増。

次に、揺れに弱いのはハンドルバーバッグではなかろうか?
こちらも一工夫を加えてみた。

このネオンイエローのハンドルバーバッグはasobitogear 製のプロトタイプ。
生地の素材はX-Pacに裏生地が付いているシンプルな構造で、ハンドルバー2箇所、ヘッドチューブ1箇所の合計3箇所をベルトで固定するという、ハンドルバーバッグの固定法として極めて標準的な固定方法なのだが、これだと、バッグがハンドルバーの下に吊り下げられた状態でブラブラと揺れてしまう。
このバッグには、テントポール、ペグ、シュラフマット、アルコール燃料ボトル、などが入っているが硬くて重いものもあるので、振動でシェイクされると直接ハンドリングに影響してしまう。
そこで、見ての通り、オレンジ色のベルト Voile Strapでハンドルバーと一緒に荷物全体を一周して固定する方法を取った。
この手のベルトでは圧倒的な信頼度、耐久性を誇るVoile。やや硬めのベルトが実にいい仕事をしてくれて、自分史上「最も揺れない仕様」の功労賞をあげたいくらい。
Voileは長さが色々あるので、バッグに合わせた長すぎないちょうど良いものを選ぶのが良い。

次にフロントフォーク積載
まずは、右側から。

こちらは、 PVC素材の防水バッグに、防寒用のダウンウェア上下セットが入っている。2Lしかない容量なのに、カッチカチになるくらいギュギュギュって詰めたのでVoile Strapでしっかりと結んでも画像の通りパンパンな状態。
荷物に隠れて見えにくいが、マウントにはWolftooth カーゴケージ を初採用している。平たいものから円柱形状のものまでマウントするのに都合が良い。


次にフォークの左側の積載

こちらの中身はテント。Paagoworks のNINJA TENTだ。
標準付属の収納袋ではなく、ARAI テントのトレックライズ0用の収納袋に詰め替えてあり、フライ、本体、グランドシートの3つをこの中に収めてある。実は見た目以上に軽い。マウントには、Problem Solvers社のBOW TIE STRAP ANCHOR KITを採用。テントは少し長尺ものなので、フォークの3穴ダボのうち最長の距離が取れる位置に取りけてある。

フォークは上下左右に激しくシェイクされる積載位置の筆頭なので荷物は重すぎず、デカすぎず。マウントも必要最低限のものを選ぶのが重要かなと。もちろん緩まない・切れない耐久性の高いベルトはマストで。

 

 

2. タイヤは太く・しなやか・ハイグリップで!


路面状況がわかっているツーリングの場合、タイヤ選びはグッとラクに決定できる。
今回も何度も訪れたルートなので、ダートの荒れ具合もわかっている。結構ガレガレのところもあるのだ。

撮るの忘れたけど、落石も多く、大きな轍もたっぷりあるのが特徴。

こんなコンディションで本領を発揮してくれたのがこちら

Rene HERSE Hurricane Ridge 700×42c 
国内での取り扱いがスタートしたばかりの、対パンク性能が高いEnduranceケージを採用したモデル。同社のブロックパターンタイヤの中でも中程度の幅。

しなやかな乗り心地を実現したく、Panaracerのシーラントでチューブレス仕様とした。チューブよりもパンクリスクは低く、何よりタイヤ本来のケーシングのしなやかさを活かせる。走りのクオリティを上げるならチューブレスが本質的だろうと。

 

3. 走りたいラインを躊躇なく走るならフェンダーだー!

 

上記の1も2も今までに何度も試してきたことなので、自分にとって新鮮味のある策ではないのだけど、前後のフルフェンダーをフル装備のバイクパッキングライドで試すのは今回が初めて。

そのフェンダーがこちら!

フェンダー作りには定評度・信頼度抜群のTOPEAK。

ちょうど、国内で発売されたばかりの、テトラフェンダーG1&G2セットという製品。
重量は前後セットで実測で520g。(決して軽いとは言えない)

なんと同社はフェンダーだけで30種類以上もラインナップしている。

勘定してみたら、私にとっては同社でこのフェンダーは5つ目にあたった。
TOPEAKの特徴は全体的にいうと、「極端に軽量とは言えないが、とにかくユーザー目線にたった使いやすさと質実剛健さだと思う。この製品も検討に検討を重ねた考慮点があり、他社製品よりも組み付けた後の剛性が高い。


このテトラフェンダーシリーズには、グラベル用のG1&G2の他に、ロード用のR1&R2セット、MTB用のM1&M2セットが存在する。わかりやすい商品名だこと!!

650〜700c、32〜50cというタイヤ外径に対応するG1&G2の特徴は、カタログから言葉を借用するが、集約するとこの2点に尽きる

⑴インジェクションによる二重成型プラスチック + エンジニアリング グレード ポリマー製ステー

⑵べルクロテープでフレームに巻き付けた後に、テンショナーによりフレームにしっかりと固定

段差の激しい林道を走ってわかったことだが、⑴の特徴でもある正常進化した材質の恩恵が大きかった。一言でいうと以前の同社のフェンダーよりもシナリが少ない。
材質の向上、リブの形状、ステーの位置などいろんな改善点が奏功して、組み付け後のバタつきが他の樹脂系フェンダーに比べるととてもしっかりしているといえる。

ここまで剛性の良さを強調するには訳がある。バタつきが多いとフェンダーが上下してタイヤと接触するリスクが増えるからだ。
以前、ペラペラの軽量な簡易フェンダーをリアに装着した際に、フェンダーの上下動が激しくなってタイヤに巻き込んで止まってしまったトラブルがあった。
フェンダーのせいで走れないなんて本末転倒なことはもうコリゴリなのだ。

⑵の特徴はもっと画期的だ。同社の中でもこの構造を採用したのは初めてなのかも。それぐらい新発明な固定方法と言える。


www.youtube.com

動画にある通り、2.5mmヘックスレンチでテンションボルトを時計方向に回すとベルトが固定されている位置が引き上げられ、ベルトはさらにテンションを高める構造。

ベルトもフレームと接触する面がゴムのような滑りにくい材質で厚みもしっかりある。
太いフレームにも適応するようにベルト長は長いが自分のフレームに合わせてカットするのが良いだろう。


※ただし、確実な取り付けを行うために注意点も
私は700×42cという対応範囲内のタイヤを使ったが、タイヤとフェンダーのクリアランスはギリギリになりやすい。取り付け位置はできるだけタイヤと離して取り付けることが正義。そうすれば上下の振動が激しくなってもタイヤと接触はしないはず!

さて、何でここまでフェンダーを熱く語ったかというと、
実は、今回走った林道も、あちこちに泥水溜まりがあったから。

大きな水溜りがある場合、当然減速するが、泥はねを最小限にするならばかなり減速したり、泥水が少ないラインをじっくり探すが、最悪、バイクから降りて歩くことになる。

もちろん、そうした安全走行も悪いことではない。
しかし、勾配のキツイ上り斜面ではラインを選ぶことも難しい場合もあり、良好なコンディションのラインを強引に選択しようすると、立ちゴケすることだってある。

そこで、泥はねを気にしなくて良いフェンダーの登場ってわけだ。

今回のツーリングは私を入れて総勢8人のメンバーだったが、フルフェンダーを装着したのは私だけだった。

結果として、泥はね汚れは最小限に、そして泥や水を気にせずラインを選べるというストレスの少ない走りが実現できた満足感がバカでかかった。

バイクはこの通り、全体的には泥はねはあるが、フレームバッグ、サドルバッグ、ボトルはほとんど汚れなし。もちろん顔にも泥はねなし。
ちなみに、フロントのフェンダーは長いように見えるが、絶妙な高さがあってシューズとフェンダーが干渉することがなかった。


おかげで、必要最低限しか持たないウェアも汚れることがなく二日目のライドも快適。
一般的には雨天時でのライドでも水はねが少ないのがフェンダーの最大メリットだが、晴天であっても山の中は湧き水だらけ。私の行く林道ではどんな天気でも泥泥ゾーンが100%存在する。
だから、フェンダーは汚したくない人、泥はねを気にせず快速ラインを楽しみたい人には500gの増量はメリットが多いのだ!

以上、
1) 積載物はギュギュっと確実固定で
2) 路面に合わせて太くしなやかなタイヤを
3) 泥はねを気にしたくないならフェンダー

と3原則を実践したことで、バイクパッキング装備でもオフロードライドが1.8倍楽しくなった自分。
もちろん、飛ばし過ぎは厳禁。
限界の85%ぐらいで楽しむための秘策なのであった。

最後まで駄文に目を通してくれた皆様、ありがとうございます。
たまに、考察系記事書くので許してください。