サルサ野郎は考えた

Bike(ジテンシャ)のコトばっかり。主にMTBとグラベルとバイクパッキングね

コンプレッサーなし・フロアポンプでできちゃうチューブレスの簡単ビード上げ 

いつもなら、サクっとFacebook投稿してしまうんだけど、それだとやはり一人でも多くの人に知ってもらうことはできないし、何よりこのBlogのコンテンツが少なすぎて、立ち寄ってくれた方に申し訳ない!

ってことで、今日はタイトル通りのチューブレスタイヤビード上げについて!

 

チューブレス(正確にはシーラントを使うのでチューブレスレディだけどレディは省略)の運用を経験した人なら誰しも面倒になる最大のハードルといえば、ビードをあげることに尽きると思う。
どうしても失敗してしまうのはいくつもの要因がある。

1) そもそもタイヤとリムの相性が悪く、ビードがガバガバ気味でゆるい
2) リムテープがヨレてしまったり貼り方が悪くて、気密性が保てない。
3) コンプレッサーが無い。住宅事情でコンプレッサーがうるさすぎて使えない
4) 圧送する時1回のポンピングの空気量が少なくて勢いが足らない

今回は、1)と2)に関しては条件をクリアしているという前提で。
3)について、実はコンプレッサーも持っているんだけど、集合住宅では音がデカすぎて使いづらいのでコンプレッサーを使わなくてもできる方法で解決したいところ。
つまり、4)の空気量問題をテーマに述べていく。
フロアポンプで圧送する空気量を大幅に少なくしている原因は
ズバリ、フレンチバルブのバルブコア!
バルブコアが抵抗となって空気の流れるスピードが激減し、結果的に流入スピード=流入量が不足しているから。

それならば、バルブコアを抜いてしまえ!

このオレンジのツールはバルブコア外しツール。もう一つ機能が存在するがそれは後述するとして。

もう一つのお助けグッズはこちら
TOPEAKのファットタイヤ専用のフロアポンプ
「JoeBlow Fat」

1回のポンピングで、一般的なロード用ポンプに比べて2〜3倍近い716ccの量が圧送できるぶっとい実力派!
ま、コレがなくても普通のポンプでも可能なので、無くても大丈夫。


さて、改めて最重要課題であるビード上げを失敗しないコツを述べる。

1) リムテープが正しく貼られていること。バルブホールの穴の部分が著しく破れていたりしてはNG。リムの内幅より3〜5mmほど幅が広いテープを使い、リムの底面だけでなくサイドにも1,2mmカバーするぐらい広めが良いと思う。

2) 可能であれば、TLRタイヤを一度チューブド状態で運用しておいた方が良い。
新品時に折りたたまれてできたシワや折り目がきちんと伸び、ビードの真円度が高まる。可能であればと書いたけど、やっぱりマストかもしれない。

3) タイヤをリムに嵌めたら、左右のビードをできる限り外側に引っ張ってビードとリムの接する度合いをタイトにすること。おそらくコレが最重要ポイント!
リムはニップルホール付近のセンターが凹んでいて、外側に向かって直径が大きくなる。タイヤを指でつまんで外に引っ張るのはやや力も必要だけど、ここで手を抜くとチューブレスは成功しない。頑張れ親指!


ビードをできるだけ両側に寄せることができたら、試しに空気を圧送してみる。
今回、なんと前後タイヤのうち、一本はシーラント無し状態でビードが上がってしまった!!しかし、ここで完全にビードが上がらなくても大丈夫。シーラントで隙間を埋めて再挑戦すれば良いだけ。

次はシーラントの用意。

今回は、PanaracerのSeal Smartというシーラントを使う。
Stansのようなアンモニア臭も無く、アルミリムやテープへのダメージが少ないという利点がある。目に見えるほどの粗めの粒子はクルミの殻からできた粒。

もう一つ必要なのは、Stans製のミニプラボトル。
シーラントをよくシェイクして内容物を攪拌したら、ミニボトルに適量を入れる。

このミニボトルは満タンで75ml入る。
シーラントはシェイクすると泡がボコボコとなって空気が入るから満タンに入れると
おそらく50〜60mlは入ると想定。
重量はほぼ50gとなったが、今回は700×42cのタイヤなので、満タンでちょうど良い量かと思う。

ミニボトルをバルブに突き刺し、このような角度でゆっくりと押し出してシーラントを
入れていく。一気に押し出してしまうと、ミニボトルの先端にクルミの殻が詰まってすぐに止まってしまう。

この1回分として売られているStansのプラボトルは本当に重宝するから、絶対に捨てないように!

 

さて、空気充填だ。
先ほどのオレンジの小物パーツを、バルブコアが外れたバルブの先に、今度は逆むけに取り付ける。もちろんコレが無くても平気。バルブコアの無い状態のフレンチバルブの奥までしっかりとポンプのヘッドを差し込むことが肝要

このオレンジのパーツ。
実は、先月の浅草で開催されたパーツ展示会でメーカーの中の方から、「よかったら使ってみて」ってご好意でいただいた貴重な試作品。
フレンチバルブの先にねじ込んで付けていくと、ネジ切りした部分が先端に来るようになる。
もうお気づきかもしれないが、実はこのネジ切り部分、米式バルブそのものの形状
米式のフロアポンプで空気圧送ができるが、ガソリンスタンドに行けば米式のコンプレッサーがそのまま使えるというアイディア商品。バルブコアなどは無くシンプルな管状になっている高速圧送のための専用パーツなのだ。

脱線しかけたけど、このオレンジのパーツがなくてもフレンチバルブにそのままフロアポンプをブッ刺して勢いよくポンピング開始!
とにかくポンピングスピードが重要!
前述のTopeak Joe Blow Fatを使ってポンピングする。バルブコアが無い分、ポンピングの空気抵抗が少ないので、とにかく早く軽く入ってくれる!
今回も漏れることなく、どんどん入ってくれた。ビードも上がった。

注意するのは、ポンプヘッドを抜く時に、バルブが12時の位置にあることが望ましい。
バルブコアが無いため、一気に大容量のエアが外に出ていくわけだが、間違って6時の位置でヘッドを抜いたりすると、シーラントが溢れ出ることもあるからだ。

コアバルブを付け直して、もう一度仕上げのポンピング。
すでにビードが上がっているので、タイヤの適性空気圧内で最も高圧な値になるまで上げるのみ。(以下は3.5Barまで空気圧あげたの図)


なお、Topeakにはフレンチバルブのバルブコアをポンプヘッドの中で取り外す構造を持つ「JowBlow Tubi 2Stage (定価20,900円)」という高性能なフロアポンプもあったりする。コイツは大容量と高圧と空気量を変えられるから1本あればOKという万能性が素晴らしい。

https://topeak.jp/products/joeblow-tubi-2stage/

また、高圧で一気に圧送できるチャンバー付きのフロアポンプや、別体型のエアータンクタイプの空気入れはいくつも存在するが、今回のネタは高圧というより、大容量圧送を可能にするネタ。数百円で買えるコアバルブ外しツールさえあれば挑戦できるのがヨキ!

最後に、チューブレスタイヤの装着は慣らしライドも大切。
シーラントを入れた当日のうちに、数百メートルでも数キロでもいいから実走して、タイヤに荷重を繰り返し、シーラントの攪拌によってビードとリムの接合面にしっかりとシーラントを馴染ませるのがマスト作業ということ。
翌日になって、タイヤのエアがパンパンになるほどに気圧を保持していることを確かめてから初めてニンマリと笑える作業なのだ。

馴染み出しライドをすること数百メートル。
やはり、チューブレスの走りは良いね。
タイヤが路面の段差に当たる入力を受けた時に、素直に素早く変形するのが手と足とお股で感じることができた。特にお尻に受ける衝撃がなめらかにマイルドになる感じ。
体重60kgの私、通常42cタイヤで舗装路ならば2.5Barだが、シーラントを入れたばかりなので、3.5Barと高めの空気圧にも関わらず、タイヤのコシを残したまま初期の変形は実に気持ちの良い柔らかさよ!
50gのシーラント+5gのバルブで、ノーマルなチューブの半分くらいの重さになるという軽量化のメリットというより、乗っている間、快適な乗り心地が永続的に続くメリット。う〜んマンダム。。。