多ノッチハブの考察
ちょっと投稿がおろそかになってしまった3月です。
今日は唐突に、ノッチについて語ります。
また、急斜面の中にさらに段差超えなどがある時にも、クランクを最適位置に合わせて、前輪をUpさせる抜重コントロールもしかり。
合同パーツ展示会に参加させいただいたり、高照度LEDライトのテストなどを行ったり、友人Bikeのホイールを組んだりとした自転車漬けな日々が流れているのは確かですが、
今日は唐突に、ノッチについて語ります。
じゃないっつーの!
細かすぎる刻みがありますが、これは肉眼で数えるのが憂鬱になる150ノッチです。
最近、手にしてしまったKuwahara Diavoloの新しくなったV2の中身なんです。
実は、V2となる前の初代Diavoloも使用していたのですが、120→150ノッチと発展しただけでなく、エゲツないほどの進化も成し遂げていました。
(その進化とは! 後ほど考察をまとめて別投稿で記事にします。)
さて、初の120超えである「150ノッチ」を手にしたのですが、
これが、想定外にコスパが良いんだぞってことを表してみましょう。
比較検討したのは8社12種類のハブです。
・多ノッチでメジャーな高級クラスのハブメーカーを比較
・12×142スルーのRハブで統一(HOPE PRO4 SSハブだけは除く)
・国内正規取扱単価 (HOPEだけは国内流通が無いのか現時点では調べあげられなかったので、英国本国単価を提示)
・ちょっと思い入れのあるHOPE PRO4 SSハブのみSS専用ハブです。同社で88ノッチはSSハブだけなもんで。
ノッチ数とコストについて表にしてみました。
という方程式は通用しないことがわかりますよね?
Kuwahara Diavolo V2は、1ノッチで動く角度はわずか2.4度!
あのChris Kingの72ノッチよりも倍以上細かいのに、お値段は半分以下!
ほぼ同額のShimano XTRと比べちゃうと、ノッチの細かさは4.2倍!!!
あのChris Kingの72ノッチよりも倍以上細かいのに、お値段は半分以下!
ほぼ同額のShimano XTRと比べちゃうと、ノッチの細かさは4.2倍!!!
まぁ、ハブの良し悪しは必ずしもノッチの数で決まらないことは百も承知なので、そういうことを議論したいわけではないんです。
ただ、29erSS乗りを5年ほど続けてきた程度の自分にとって、多ノッチがもたらすメリットを体感してきただけに、どうしてもノッチが多いことに目がいってしまうのであります。
29erSS乗りになって、どうして多ノッチが有利なのか?
『合わせクランク』
SSに乗るようになってから傾斜のきつい登り斜面において、クランクを前後して一番トルクのかかる3時の位置でタイミングを合わせながら、登りきる技術が得られました。
その背景として、ギヤードの場合、高回転のケイデンスでペダリングするので、クランクを回転する勢いとリズムとシッティングによるトラクションコントロールでスピードを維持しながら登りますが、ギヤ比1.5前後のトレイル仕様のSSだと、ケイデンスは半分くらいの遅くなります。
そのためにスタンディングが基本となるわけですが、本当に急斜面だとスピードが0〜1km/hとなり、ケイデンスが止まりかける際に、一番トルクのかかる位置にクランク位置を合わせる「合わせクランク(と勝手に命名)」が必要になりました。
また、急斜面の中にさらに段差超えなどがある時にも、クランクを最適位置に合わせて、前輪をUpさせる抜重コントロールもしかり。
つまり、SS乗りになると嫌が応にもクランクの使い方にアレンジを効かせることが増えちゃうのであります。
また、トライアルの基礎練の時でも同様に、スタンディングスティルをする際には、水平にしたクランクにトルクをかけたり抜いたりという連続でした。
こうした、クランクの動きに瞬時に対応するには、やはりノッチが細かい方がメリットなのであります。
一方でデメリットもないわけでもないようです。
フルサスDHの場合、キックバックが大きい構造のフレームだと、ジャンプや段差超えするたびに、ペダルが逆回転する動きに変わってしまうので、ディレーラーへの負荷が極端に増えてしまったり、足が負けてしまうこともあるとのこと。
まぁ、私は最近DHをやらないし、フルサスフレームは乗れる状態にはないので、あまりこの点は気にしなくていいのですがね。
また、ステルスハブのようなバッククラッシュゼロや、204ノッチのProfile Racingなどは、完全にハイエンドのBMXレーサー向けだそうで、アソビの余裕もなく回転と同時にトルクがかかるのは、強靭な脚力が必要なようで、一般向きではないという声をとある店主から聞いたことがあります。
【考察ポイントその2】
次に、1ノッチの移動距離がもたらすアソビ量っていうのを比較してみましょう。
SS乗りなもんで、SSっぽい前提条件になってます。
・ギヤ比は 32×21t の1.52でひとまず計算
・トルク重視の175mmクランク仕様
・Rハブが回転していないスピードがゼロの時の数値
えええ、細かい数字の羅列で何やってんだかわかりにくいですね。
クランクを1回転させると、後輪が何ノッチ分動くんじゃ??ってところから考察を開始。
・ギヤ比が1.52だとすると、150ノッチのKuwahara Diavolo V2は228ノッチ分の動きがあります。
・またこのギア比で1ノッチ分の回転を与えるためにクランクを回転させる角度というのは、360(度)÷ 228(ノッチ)= 1.5789 ≒ 1.6度という理論上の角度が求められます。
・直径×3.14で円周が出ますので、175mmクランクの円周の長さは、
175×2×3.14= 1099mm = 109.9cmとなります。
・1周で109.9cmだから、1.6度クランクが動くと、0.48cm
つまり、150ノッチのDiavolo V2では、ノッチがかかるまでクランクは4.8mmしか移動しないんです!!! これがアソビ量です。
対して、36ノッチのXTRやXTはアソビ量が約2cmもあるんです。この5倍の距離はデカイ!(SS乗りにとってはね)
また、ギヤ比が軽ければ軽いほど、アソビ量は増えていきます。
ためしに、32×24tの1.33だとこうなります。
ギヤ比1.52の時よりも14%ほどアソビ量は増えました。
さらに言うと、走行している時はRハブも正方向に回っているので、走行スピードに比例してアソビ量も増えるわけです。
さらに言うと、走行している時はRハブも正方向に回っているので、走行スピードに比例してアソビ量も増えるわけです。
しかし、このアソビ量があるからこそ、膝への衝撃が緩和されたり、足の動きに助走が付けられ、ノッチにトルクがかかった瞬間に最大限の力が発揮されたりするんですね。
【考察まとめ】
バイクの種類や競技種目、SS or ギヤード、スピード域、合わせクランクの有無、スタートダッシュ、ギア比、タイヤ外径、経験値、筋力の強さなどなど、いろんな条件が絡むことで、その人の走りにあったノッチ数が求められる世界なんだと、改めて感じました。
また、SSに乗ってなかったら、トライアルの練習していなかったら、こんな考察は微塵も考えないでしょうね。
だって、高速巡航のロード乗りだと、36ノッチもあれば十分。
52×11などという超ハイギヤードだと、ノッチの荒さは気にならなくなりますしね。
だって、高速巡航のロード乗りだと、36ノッチもあれば十分。
52×11などという超ハイギヤードだと、ノッチの荒さは気にならなくなりますしね。
ママチャリで16ノッチくらいから慣れてきた足は、やがて誰しもSHIMANOの24や36に馴染んできたわけで、その後一部の人が、物欲に負けて48、54、60、72、88、108、120、150とステップを踏んでいくのであります。
きっとどこかに自分のライドスタイルの落とし所はあるはず。
150で組み上げるのが待ち遠しくってワクワクする一方、未知なる世界への階段を上る勇気も必要になってきたところで、今回の駄文を終ります。
みなさんも、My Best ノッチ探しの旅を! (て、やらないか。。。)