ハブ サウンド(前編)
シングルスピードに乗り始めると、ギアードライフの時には感じにくかった現象の一つが、
「ハブの空転音」だと断言してもいい。(と思う)
きっと、松尾芭蕉がシングルスピードバイクに乗って東北を旅していたら、きっとこんな句を詠んだにちがいない。
シングルや 森に染み入る ハブの音
もちろんギアードに乗っていてもハブの音は聞こえて来るが、
チェーンがチェーンスティを叩く音、シフトチェンジする時の共鳴音など、
シングルスピードBikeでは発生しえない音が、断続的に聞こえて来るので、ハブの空転音などに神経を集中することなんかないのだ。
もっと、大胆なことを言うと、SS乗りは下りは漕がない。
登りのことを考慮したギア比だと、どうしても25km/h以上になるとケイデンスが高すぎて漕げないのである。
すると高速で巡航する平地、もしくは、より高い速度域の下りなどは漕ぐわけもないので、ますますハブが奏でるサウンドは増してくるばかり。
さて、小難しい分析はこれくらいにして、本題に戻ろう。
今後、シングルスピードのホイールを選択するにあたり、
一体どんなハブが自分の琴線に触れるのか、実際に聴き比べてみてほしい。
・ラチェットの大きさとスプリングの形状
・ラチェットの数
・スプリングの強さ
・ラチェットの可動域
・ノッチの細かさ(=多さ)
など、音を奏でる構成要素は複雑に絡み合っているから面白い。
前編として、高級ハブ御三家ともいえる。
「HOPE」、「HADLEY」、そして真打の「Chris King」を紹介しよう。
1. Hope Pro2 EVO SS Rear hub
信頼性高い大き目の爪と大き目の可動域、そしてスプリングの強さからか、おそらく最大クラスのHOPEサウンドを奏でてくれる。
多少重量級ではあるが、分解整備もしやすくメンテナンス性の良さとコストパフォーマンスの良さは、海外製品の中では一級品と言える。(と思う)
(純正品に近いグリスを使ったメンテ後の回転)
2. Hadley SDH135 R11.0 (ギアードハブ)
決して大手メーカーではないが、妥協することなく高品質なものを作り続けているMade in USAメーカーの一つ。
72ノッチの細かさと、その独特なサウンドはもちろん、アソビの少ないラチェットのかかりの良さに惚れ込んでしまうファンも少なくない。(と思う)
ベアリング、フリーボディ、シャフトのシール性も文句ないのだが、超低抵抗のウルトラスムーズな回転は、上記HOPEと比べても回転持続時間が違うのが明確だ。
ちなみに、動画のハブは同社純正テフロンでバッチリメンテした直後だけに、
超Sweeeeetな回転といえよう。
3. Chris King ISO SingleSpeed
全てのSS乗りの憧れといっても過言ではない。
円安ドル高の時代、最高級でありがながら最高クラスの価格なのではなかろうか。
「Angry Bee」と例えられるのがまさに言い得て妙なほど、まるで命が宿っているかのような音の立ち上がり方が、実に独特で芸術的とも言える。
この音がしたら、「王様のお通りだ」と気づく人は多い。(と思う)
また、回転が低くなってきた時でも伸びやかに回転を続けようとする様などは、Hadleyと同様に超ウルトラスムーズで、実際の走りにもバッチリ有効であるし、プラシーボパワーは無限大だ!
ちなみに、こちらも同社純正のRing Dribe Lubeでバッチリ整備直後だから、オイル切れしてきた頃にはもっとAngryになることウケアイ!!
以上、後編にはどんなハブが出てくるのか待っててクレヨン
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