サルサ野郎は考えた

Bike(ジテンシャ)のコトばっかり。主にMTBとグラベルとバイクパッキングね

F.M様のホイールのメンテナンス

先日のことですが、29erSSつながりのF.Mさんから「ホイールが触れちゃったんだけど、メンテ御願いしてもよい~?」と依頼がありまして、自分の勉強にもなるし、喜んでお返事しました。

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宅急便で送られてきましたそのブツは?!

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全景を撮りそこねましたが、泣く子も黙るDT SWISSのリムとハブ!!!
しかもハト目付きリム+真鍮ニップル+プレーンスポークという堅実でいてメンテナンス性に優れた逸品なのでありました。

どうも、組んだ時に柔らかめに組んでしまったようでして、振れがかなり出ているとのこと。
体重に見合った適正なテンションで組み直してほしいとのオーダーでした。
オーソドックスな3クロスの6本組でしたので、まずはスポークやネジ山がいかれていないか、バラさないままニップルとリムの間にラスペネを注油してテンションを上げてみました。
もし、これで振れが全くおさまらないようならば、全バラして該当のニップルなどを交換し、スポークニップルを塗り直そうかなと想定しておりました。

そして作業開始!

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まずは、現行のホイールのテンションを全スポーク測定
フロントはローター側20~24、半ローター側は18-20でした。(下にあるパークツールのテンション表の数値です)
リアはオーナー様がバラし作業を途中までやったらしいので5~20とかなりユルユルでバラバラな状態。

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(2.0mmのプレーンスポークなので、表の一番左側の数値で読み取ります。つまり20=68kgfです)

オーナー様は背が高く体重80kgという強靭なボディなので、リムのデカールにも表記してあるとおり、前後とも1200N=121kgf=25の数値まで上げていこうというのが今回の狙いです。

縦の振れを取ることを重点的に多少の横触れはあまり気にしないように同時チェックしていき、頻繁にセンター出しも確認。
前輪は非常に素直な調整でしたので振れ取り作業そのものは40分ほどで終了。
次にテンションを1本ずつ確認。この時点でテンションメーターの2目盛りほどの振れ幅があったのですが、ローター側は25台、反ローター側は22台と、一桁台を均一化させることに成功しました。

もう、この時点でハト目+真鍮リムのトリコになってしまうみたい

次に後輪に取りかかろうとしたのですが、
空転させた時のラチェットの滑り具合に、イマイチしっくりきません。
どうやらグリス切れかなにかしらの原因で少し渋い回転となっているようでした。
私自身もDT SWISS社のハブを所有していたからこそ、その違いが余計分かってしまったのかもしれません。

オーナーには黙ってメンテしちゃえと思い、ハブボディの分解作業に入りました。

立つんだジョー、案の定。
グリスの劣化がかなり進んでおりました。
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これらの古いグリスをウエスで除去。(パーツクリーナーはベアリング内に入るとマズイので使いません。)
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新たに、ハブ専用のセラミックグリスを塗布して組み付けました。
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すると、あのDTらしい爆音がおよそ40%静音化され、SHIMANOハブなみの静けさに。。。
(これはコレでちょっと寂しいけど)

さて、振れ取り作業開始!
前輪よりも手こずるかなと想定してたのですが、ノートラブルなままテンションが最大値の25までバランス取れそうでしたので、敢えてスポーク外しはせずにこのまま微調整を続けました。
結果、フリー側は最大値の25台。反フリー側は20台という均一なバランスに組み上がりました。

月曜に荷物を受け取り、木曜には返送するというMom&Popsバリの早さで作業させていただきました。


さて、これで得たものはというと
やはり、真鍮ニップルとハト目スポークの相性の良さですね。
最悪、ハト目無しリムでも真鍮ニップルは非常に安定した滑らかな回転を持続してくれるので、実に効率よく進めることができました。ハト目は、ニップルの周りが良いだけでなくニップルとハト目の接触面を大きくするため、テンションの均一化にも大きく貢献してくれます。

前回のファットリムを組む時も同様ですが、テンションを高めに上げたい時は真鍮ニップルに限る!というのは私の中では定説になりつつあります。(って、一般的にもそうなんですよね)
私の場合、決戦用超軽量ホイールよりも、里山トレイルで安心して遊べるホイールが正義のようですね。
今回の作業であらためてそう感じました。

というわけで、オーナーのミスったー29erさん、
以前よりも硬さが強調されてしまうかもしれませんが、安心してよく曲がるハンドリングになるかと!
結果的には強くて速いホイールになったのではないかと信じております。
ホイール同様にテンションアゲアゲなライドを満喫してくださいね!!!

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