サルサ野郎は考えた

Bike(ジテンシャ)のコトばっかり。主にMTBとグラベルとバイクパッキングね

ビンディングペダル考察 測定編(重心と接地面)

以前、Blog仲間とビンディングペダルについてあれやこれやと考えた事がありました。
SHIMANO、TIME、Crank Brothers(以下CB)がメジャーどころですが、SpeedplayのSyzrもいいよねなんて話題になったり。

それからしばらく経って、たまたまXTRのNewモデル985系Trailを手にする機会があり、スペックや測定結果から読み取れる範囲の考察を始めてみたくなりました。

まずは、測定編です。
今まで憶測で思っていたこととは違った部分が多々あり、設計者の研究開発の奥深さに感嘆せざるをえませんでした。
測定編の次は実走編を行い、測定編で得た仮説を検証しみたいと思います。

うまくまとめられる自信は無いですが、どうぞおつきあいください。

当然ですが、ペダルとシューズの相性の良し悪しもあります。SHIMANOシューズしか持っていない私個人による趣味の範囲の考察結果です。

(ああ、既に前置きが長いよ。。。 ここからは付き合ってもいいよーという方のみで結構です。)

【比較ペダル】
イメージ 1イメージ 2イメージ 3イメージ 4






XTR PD-M970           XTR PD-M985 Trail    TIME ATAC Carbon    CB Eggbeater 3ti

【インプレ用のシューズ】全てSHIMANO製 サイズ43 (27.2cm) 
イメージ 5イメージ 6イメージ 7








MT-91 (SHIMANO用) NW-80 (TIME用)    M075 (CB用)

クリート取付け付近のソールのブロックの高さ(ブロックークリート取付面)は全て7mmでした。
あまり酷使していないので、ブロックの高さは新品に近い値と判断します。

【測定結果】
イメージ 8

すべてカタログ値ではなく実測値です。素人寸法なので測定誤差もあります。
接地面積などの測定も「エイヤ」的にかなり適当ですのでゴメンなさい。
また、私のシューズのみで判断していますので、他メーカーだと違う数値になるかもです。


上記の表のとおりに順をおって考察を進めていきます。

【重心について】

1.重量
こうしてみると、CBの軽さだけが突出してます。しかも2tiからショートチタンスピンドルに換装しているのでなおさらです。しかしペダルの重量差はあまり大したことないと思います。
なぜならシューズによって数百gも違ってくるからです。私の場合里山トレイルで歩行することや、今の季節に防寒・防水が良いのでMT91やNW80の重量級シューズを好んで履きます。こいつの重量でペダルの200gの差はあまり気にしてられません。
軽いにこしたことはないのですが、ペダルを蹴って詰まったドロを落とす時に、十分耐えられる強度や構造であれば良いですね。(正直、CB様は蹴れませんでした。まだ勇気いるな~)

重量とは別ですが、押し・担ぎの際にヒットしても痛くないカタチも意外と見逃せません。
この点では、TIMEは最有力な存在です。先代のTIMEはさらに丸っこかったですね。

2.シャフト付根→ペダル中心の距離
わかりやすい写真はこちらです。
イメージ 9
Qファクターに関係する数値ですが、私にはあまり狭すぎてもよくないようです。広いのに慣れてしまったせいでしょうか、外側荷重する癖があるようです。
(じゃ、ショートスピンドルからノーマルに変えればいいのか と、今気づいた。。。)

クリートの中心点という意味で測定してみましたが、どれだけ外側に接地面があるかという点では、
PD-M985とTIMEがずば抜けて良いようです。ダンシングでもがいた時に靴が外側に逃げないのが重要である気がします。

3.ペダル厚さ
ペダルの最大に分厚いところを測定。分厚い方がペダル軸から重心位置が高い→不安定となりやすい。
意外だったのは、970から985に進化した際に、厚みが3mmも薄くなったこと。エライ!

4&5 ペダルの前後の爪の間隔
この距離が長い方が安定するものだと憶測してましたが、実際には爪の間隔距離ではなく、
ソールとペダルが接地する箇所の前後長さ、左右の幅、面積こそが重要なのではないかと推察します。



【接地面について】

6.ペダル接地面の最大幅
ペダルとの一体感を感じるファクターの一つになります。
接地面が横に広ければ、シューズを外側によじっても、たわみが少ないので安定するはずです。
新生XTRは、横幅も前後幅も広くて、まさに面で踏むペダルになってます。

7.接地面積
各ペダルの接地面を色塗りしてみました。意外な結果!

XTR PD-M970
イメージ 10イメージ 19











意外にも大変小さい設定面積です。ソールのゴム部が常時接地しているのは、黄色の面積のみです。
そのため、塗装がハゲてます。
ただ、左右に荷重すると、右写真の赤い部分が金属のクリート接触し始めます。
無荷重の場合、クリートと赤い部分は0.5mmくらいの隙間が空いてます。
イメージ 23
試しに手で押してみると、赤い部分がクリートと接します。ゴムではない金属同士の接触なので一体感や剛性を出しているのでしょうかね。
イメージ 24

ただ、この構造のためなのか、左右に荷重して金属が接地するラグを、”ガタ”のように感じることもあります。ごく僅かですが気になるっちゃ気になる木です。


XTR PD-M985

イメージ 25イメージ 26









985の場合、黄色の部分のかなり広い面積でソールと接触するので970のような荷重をかけてシューズを斜めにしならせることは皆無といっていいです。そのため970のように赤い部分がクリートと接することもないです。970との比較結果でいうと、カタログ値では、約10倍とありますが、私の実測結果ではおよそ5倍でした。黄色の部分のみたまんまということです。

イメージ 27
実はこのように、外側が一段低くなってます。その高さ約0.4mm
しかし、SHIMANOのシューズはどれもソール部分にも同じような段差があるので、うまいこと各々の段差とソールがフィットするようになってます。
イメージ 11

まだ、実走していないのですが、接地面の大きさ、ガタのなさ、左右へ荷重した時のフラツキのなさは、他の追随を許さないほど完璧です。後だしじゃんけんは勝たなきゃいけないのです!(?)
のちほど、それでも残るデメリットなところを後述しますが、いやーSHIMANOはスゴイ!


TIME ATAC Carbon

イメージ 12イメージ 13









985の次に接地面積が大きいです。06,07の王滝参戦のためにTIMEにしました。ヒザ痛をさけるためでもあります。のべ2年くらいは使いましたが、接地面の削れはほとんどなく塗装も無傷に近いです。ゴム製ソールだからですかね。

イメージ 14

バッチリ接していますが、TIME固有の横スライドは、手でも動かせるほど滑らかです。


CB Eggbeater 3ti

イメージ 15イメージ 16










CBの接地面の幅は、横方向には幅がありますが、縦方向には上の通り黄色い部分のみです。
上の表では、黄色の部分だけでなく、その間の空間も面積にいれて計算しました。
しかし、この黄色の部分も実は、、、

イメージ 17イメージ 18









正確にフラットではなく、丸みを帯びた形状になってます。
現行の4tiにいたっては真円になっているので、表面積は線接触になっているかと。

で、この丸みがあだとなる結果になります。(私にとってはですが)
シューズを左右に荷重した時(特に外側に載せる時)、ソールの接地している部分がさらに沈み込み、
ゴムのしなりを増大させる結果になります。

イメージ 20
これが無荷重の場合です。ボディの左右とも接してます。

イメージ 21

手で荷重をかけた時でも片方が浮き始めます。脚で全体重の荷重をかけたらもっとソールがしなるかもですね。
丸みをおびたボディ、そしてシャフト軸と同じ位の細さが起因するのでしょう。
PD-M970の使用後にコイツを使うようになり、さらにQファクターも近くなったこともあって外側に体重が乗ることが多かった自分ですが、このシューズのたわみが、気になりました。
線のようなペダルに乗っているフィーリングは、見た目から来たものではないことが測定してみてわかりました。

接写してみてわかったことですが、4つのペダルともペダル側のクリートをひっかける爪部分(CBではウィングといいます)は、シューズのソール部分とは無荷重時には接しておりません。
(PD-M970の例)
イメージ 22
クリートの前後外側とペダルの爪の内側部分はバネで挟み込まれているので、当然接触しておりますが、荷重が無いときには少し浮いている状態になります。ですが、ペダリング時は当然荷重するので、その際は、おそらくソール部分とペダル爪部分が接触することもあるのかなと推察します。
PD-M985だけは、あれだけ接している面が大きいのでゴムがしなりにくく例外かもしれませんが。

でも、どうしてなんだろう?
なんで、ソールと爪はくっ付かないのかな? くっ付いた方がダイレクト感があるのに?
泥が詰まった時に、この微妙なクリアランスの御陰でペダルをはめられるってことでしょうか。
もし、これがギチギチに接していたら、ドロが着いただけで、隙間に余裕が無くてペダルがハマらないってことなんでしょうかねー。



ここまで好き勝手に記述していたら、自分でもイヤんなるくらい長文になってきたので、ここで『測定編(重心と接地面)』として区切ります。

後に、後半として『測定編(各仕様とクリート)』をUpしていきます。
何年も使っていたのに、知らなかった事実があったりします。

ここまで駄文にお付き合いいただきありがとうございました。